痴呆の母に教わったこと（イデア教養文庫０４　公式サポートホームページ）

「お早うございます」と母に起こされた。７時少し前くらい。

「何が何だかわからない」「何をしてよいのかわからない」と、いつものようなせりふを言っていますが、声の感じが非常に落ち着いていて、「あれ？　どうしちゃったのかな？」とかえって気になって私は起きることにしました。

　昨日も２時間くらいしか寝ていないので、眠いですから、いつもなら横になったままで、母に寝るように促すところでした。

　起きてみたら、本当に静かになっていて、目の表情も穏やかでした。いつもなら「家に帰る」「何が何だかわからない」と、私に助けを求めるように、うるさく訴えるのですが、そのようなことをしたり、自分から外に出ること事態も忘れたのかもしれません。

　本能的に生きているだけの状態なのか、完全に悟ってしまい諦めの状態になったのかと思ってしまいました。たぶん、お腹が空いているのだろうと思って朝食を食べさせましたが、食欲はあり普通に食べています。朝食後のお手玉の遊びもいつものようにできます。

　「寝ていいのかなあ」と布団の前で私に尋ねて、笑いながら横になりました。もういびきをかいて寝ています。

　よくみかける認知症の方のように表情がまったく変化しないということはありません。自分の世界に入ってしまったという様子でもありません。

　大人しいですが、元気がないという感じにも見えません。こういう状態が毎日なら、介護は全く楽だと思います。昨日の夜は寝ながら笑っていました、きっと何か母の中で変化があったのでしょう。

　とは言いながら、起きてきたらいつもの母になるかもしれないし、油断できないかも。

さっき寝ながら笑っていました。しばらくしてから寝顔を見たら嬉しそうな顔をしていました。

目が覚めたようなので、「嬉しそうな顔をしているよ」と話したら、「そうなの」と言って、また眠りました。

夢の続きを見たいのでしょう。

起きているときの顔は、最近は不安そうな顔ばかりだったのですが、久しぶりに笑顔を見ました。

いつもは食事を残すことはないのですが、今日は珍しく半分ご飯を残していました。しかも、それを冷蔵庫に入れていたので、後で食べようと思ったのかもしれません。

　急に食欲がなくなったわけではなく、夕方にケアマネさんが訪問していたときに、パンやお菓子を見つけて食べていましたから、その関係だと思います。

夕食後母が寝たので、私も横になったのですが、やはり寝てしまいました。

FAXが届いたので、その音声で目が覚めたら母がいませんでした。

２重の鍵はかけてあるのですが、最近の母は簡単に解除してしまいます。

外に探しに出たら、通りの前で立っていました。どちらのほうに行こうかと考えている様子でした。

徘徊というより、外に出たいだけかもしれません。遠くに行くと戻れないこともわかっていそうです。

逆の方向に探しに行ったのですが、前回も朝は商店街の方から自分で戻ってきました。

ところが、家のそばを通り過ぎて店の方向に。

いつもこのパターンで時間がかかるのかもしれません。