痴呆の母に教わったこと（イデア教養文庫０４　公式サポートホームページ）

今日も、会議の後に仲間と飲み会に。

母はビール中ジョッキ１杯と梅酒２杯を軽く飲みました。

帰りの電車も一部は座れなくてもいやな顔せずドアのそばで立っていました。

近くの方が、やはり同じくらいの母親の面倒を見ているようで、母にいろいろ話しかけてくれましたので、母も退屈せずに近くの駅まで立っていました。

帰りの電車が遅い時間になると、寝ている人が多くなり、なかなか母に席を譲ってくれる人が少なくなります。

今日も外に連れていきましたが、いつものように高いビルをみて、「あれは大きいね」と話しかけてきます。

指を指すので、ビルのことだとわかります。１，２、３・・・とビルの階数を数えることもあります。

今日は、「大きい」でなくて、「高い」だねと言葉を選んだのでびっくりしました。

だんだんと語彙が少なくなって、「あれ」「これ」ということが多くなってきていますが、用語のまちがえを自分で訂正するなんて初めてだと思います。

まだ横になっていて起きていない母ですが、目をさまして「おばあちゃんが佐渡のお菓子をもらってきたよ」と言っていたと笑っていました。

何か夢でもみたのでしょうね。

今年も母を佐渡に連れていこうと思います。

昨日はデイサービスだったのですが、会議があったために、自宅のそばではなく、会場の近くで送迎バスを待っていました。

そこから会場まで歩いていきましたが、母が「いつもの道と違う」と話したのでびっくりです。

母は、よくいく場所でも、「ここははじめてきた」と話すように、方向感覚というか場所の感覚が非常に落ちているのですが、自分からはっきりといつものコースと違うと話したのは、おそらく初めてです。

最近は脚が弱くなっているので、昔のようにいろいろなところを歩くのではなく、歩くコースは限られてきたのですが、、その影響なんでしょう。なんとなく歩いているようでも、周囲を観察しているのかもしれません。

昨日、一昨日とバスの１日券で、いろいろと移動しました。最近はあまり歩かずに、移動はもっぱらバスです。

母は無料ですし、私も何回バスに乗っても１日５００円しかかかりません。幸いなことに、どこに行くにしても自宅近くからバスで行けるのです。東京駅など、遠回りになるケースもありますが。

外につれていくと、建物や通行人や動物を観察したりして、落ちついた行動を取ってくれますので、助かります。夜も疲れてよく寝てくれますし、深夜に起きて徘徊される心配はありません。

認知症の初期の方は、施設のデイサービスを利用するより、このように日常の延長をさせておいたほうが進行を遅らせると思うのですが、こういうツアーを企画されても、参加費は介護保険の対象外になります。もっとも、移動中に転んだりしたら誰が責任をとるのかということになりますから、誰も企画しないでしょう。

だから自分でやるしかないのです。本に書きましたが、私の介護はこのようなことを続けているだけです。もう９年目になりますね。

母を外に連れていくときは、一度も手をつないだことがありません。まだ大丈夫のようです。バスの乗降時にはサポートすることが多くなりましたが。