痴呆の母に教わったこと（イデア教養文庫０４　公式サポートホームページ）

母が昨夜に混乱したのは、土日の２日間はほとんど外に出なかったかもしれません。
風が強く寒そうだったので、外には連れて行きませんでした。

昼夜逆転となり、今日も夕方まで良く寝ていたので、夕方には３０分のウオーキング。
用事があったので、母を連れていっただけですが。

それほど寒くはなかったですが、坂を上って行くので、母の足取りは重たかったです。３０分くらい歩いたら、自分で道端で休みました。たぶん、徘徊中もそうやって、時々休んでいるのでしょう。

用事を済ませて、暖かいココアを飲んでゆっくり休んでから、帰りも歩きましたが、下りが多かったこともあり、帰りの足取りは軽快でした。

母は、疲れても回復が早いようです。

４０分くらいの間、母と私は何もしゃべりませんでした。母は、いつもはトイレの場所を聞くのに、だまって一人でトイレに行っています。
ようやく丁寧な言葉で話しかけたのですが、意味がわからず、私はだまったまま。

ようやく、「私はどうしたらいいかしら」という意味がわかる言葉になりました。いつもは、「家に帰る」と言って外に出ようとしますが、今はその気配はありません。

私は黙ったままなのですが、「行ってみようかな」と言って部屋を出ましたが、すぐに戻りました。

私の名前を読んだので、しかたなく「ここで寝るんだよ」と久しぶりに声を出したら、「それでいいの？」と言って寝る支度を始めました。

「あれ？」という感じです。たまには、怒ってみるものですね。

　母がなかなか寝ないし、家の中のものをひっくり返して、私のパソコンまで壊されそうになりました。マウス、電源ケーブルなど紐を見ると片付けたくなるようなんです。

　あまりひどいので、「どこでもいいから外にでていけ」と怒鳴ったら、本当に静かに出て行きました。

　怒って外に出るときはドアをバタンと閉めるのですが、今日は静かにドアを閉めて部屋を出たのです。玄関の音もしなかったので、本当に外に出たとは思いませんでした。

　廊下にいるか、トイレかなと思っていたのですが、玄関まで行ったら母の靴がありませんでした。あわてて上着を取りに部屋に戻り外に探しに行ったら、玄関を出て少し歩いたところの通りで、近所の人と話をしているところでした。

　部屋に連れて戻りましたが、母は泣きそうな顔をして黙ったままです。まだ寝そうにもないし、私に声をかける気配はありません。静かに家の中を行ったり来たりしています。私も、黙っています。